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解体工事前に知っておきたいクレームの種類や対策、騒音の基準を解説
解体工事を実施するにあたって気になるのが、騒音や振動などによる近隣からのクレームではないでしょうか。
クレームが起きないのが一番ですが、工事では騒音や振動の発生はどうしても避けられない部分です。
この記事では、解体工事で起きるクレームの種類や避けるための対策、騒音や振動の基準値などを詳しく解説します。
大きなトラブルに発展させないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
解体工事のクレームの責任は誰にある?
民法716条によれば、「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。
ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」とあります。
つまり基本的には、解体工事で生じる騒音や振動、粉塵、そして重機の操作ミスで隣家の塀を壊してしまったなどの被害は、解体業者に責任があると言えます。
しかし、工事計画や施工方法を無理に変えさせるなどの施主に過失があった場合は、施主が負うとも記載されています。
責任が施主にない場合でも、近隣との関係を悪化させないよう対応に協力する姿勢は必要になるでしょう。
解体工事でよくあるクレームの種類
ここからは、解体工事でよくあるクレームの種類についてそれぞれ解説します。
あらかじめ把握しておくと回避する上で役立つでしょう。
騒音について
解体工事でクレームになりやすいのが騒音です。
重機などを使用して建物を壊すため、大きな音が発生します。
解体業者は建物の周りを養生シートで覆ったり、場合によっては防音シートを使ったりして対策をしますが、騒音を完全になくすことはできません。
騒音と同じく、工事による振動もクレームが起こりやすい要因です。
粉塵について
建物を解体する際には、粉塵が飛散します。
養生シートで防止対策をしていてもすべてを防ぐことは難しく、「洗濯物が汚れた」「車がホコリまみれになった」などの問題が起こる場合があります。
重機について
工事で使用する重機が原因で「道路をふさいでいて通行できない」「家や塀が傷ついた」などもあります。
万が一、近隣の建物を傷つけてしまった場合は、解体業者が賠償金を支払う形になります。そのため損害賠償保険に加入している業者を選んでおくと安心です。
路上駐車について
現場では廃棄物などを運搬するトラックだけでなく、作業員の車が路上駐車されていて、近隣住民の通行の邪魔になるケースがあります。
解体業者の態度やマナーについて
「挨拶をしない」「路上でタバコを吸う」「ゴミを片付けない」など、作業員の態度やマナーが悪いと近隣住民は不安に感じてしまいます。
クレームにつながる恐れもあるので、近隣の方へ誠実な対応をしてくれる業者を選びましょう。
嘘のクレームを言ってくる人も稀にいる
ごく稀にですが、建物の古いヒビ割れや傷を「解体工事でできた」などと嘘のクレームを言ってきたり、言いがかりをつけてきたりする人もいるため注意しましょう。
解体工事における騒音・振動の基準値
解体工事において騒音や振動の発生は避けられないものですが、人によっては我慢ができなかったり、体調を崩したりする人もいるでしょう。
環境省は、工事の騒音と振動に関する法律として「騒音規制法」「振動規制法」を定めています。基準値の上限については「環境大臣の定める基準」によるとされ、
- 騒音の上限 85db
- 振動の上限 75db
となっています。db(デシベル)とは、音の大きさや強さを表す単位のことです。
騒音と振動以外にも、作業を行う曜日や時間帯なども定められています。また国が定める法律以外にも、各自治体や地域などによって個別に定めているところもあります。
解体業者は基準値を超えないよう注意して作業を進めるはずですが、施主としても大きなトラブルに繋がらないよう、基準値について理解しておくと良いでしょう。
受忍限度とは?
法律上、基準値に問題はなくとも、騒音だと感じるレベルは人それぞれのため、中には我慢できないと感じる人もいるでしょう。そこで理解しておきたいのが、「受忍限度」という言葉です。
受忍限度とは、人が一般的な生活を送る中で、この程度までは我慢すべきとされる判断基準のことです。
明確な数値の基準はありませんが、一般住宅の解体工事であれば日中に作業して数日で終わる場合も多く、ルールを守った工事で受忍限度を超えていると判断されるケースは少ないでしょう。
基準値とあわせて受忍限度も理解しておくと、クレームが起こった場合でも冷静に判断できます。
基準値を超えた場合はどうなる?
万が一、基準値を超えた場合はどうなるのか気になるところでしょう。
結論から言うと、騒音や振動が基準値を超えるのが一時的であれば、すぐさま違法な行為だと判断されるケースは少ないです。なぜなら大型の重機を使用する解体工事の場合、一時的に基準値を上回る音や振動の発生は避けられないからです。
ただし基準値が持続的に超える場合は、解体業者が行政から改善勧告などを伝えられる恐れがあるため注意が必要です。
クレームを避けるためにできる対策
ここからはクレームを避けるためにできる対策について解説します。問題が起きる可能性を少しでも減らすために確認しておきましょう。
実績があり信頼できる業者を選ぶ
最も重要になるのが、実績があり、信頼できる優良の解体業者を選ぶことです。実績がある業者であれば高い施工技術があり、騒音・振動・粉塵などについても養生シートや防音シートなどできちんと対策してくれるでしょう。
近隣の壁と接しているなどの場合には、傷つけないよう手作業で行うなど配慮してくれるはずです。
さらに信頼できる業者なら、マナーもしっかり身についていて、近隣住民への挨拶回りも行ってくれ、クレームが起きた場合も適切に対処してくれる可能性が高いです。
事前に近隣挨拶をしっかり行っておく
解体工事の前には、近隣への挨拶回りを行うのが一般的です。
業者が主導で行ってくれますが、可能な限り、施主も同行すると印象は良いでしょう。
人によっては施主が挨拶に来ないと不満に思う場合もあります。事前に挨拶に行って顔を合わせておくことで、大きなクレームになるのを防げるでしょう。
近隣の壁などの写真を撮っておく
あらかじめ近隣の壁や塀などの写真を撮っておくと安心です。
工事が原因でできた傷かどうかを判断して嘘のクレームを防げるだけでなく、責任の所在を明らかにしやすくなります。
クレームが起きた場合の対処法
慌てず対応するためにも、対処法を把握しておきましょう。
なるべく早く事情の説明に行く
クレームを受けた場合は、なるべく早く事情説明に行きましょう。
後回しになればなるほど、大きなトラブルに発展する恐れがあります。
説明の際には、誠意を見せて、相手の話もしっかりと聞くことが大切です。
工事の中断を要求されても基本的には応じない
解体工事の中断を要求されても、基本的には応じないようにしましょう。
中断は、裁判所から工事の差し止めを言い渡されたときになります。
受忍限度の項目でも解説しましたが、一時的に騒音や振動の基準値を上回ったとしても工事が差し止められる可能性は低いと言えます。
また差し止めの申し立てをしている間に工事が終了するケースもあります。慰謝料を要求された場合でも応じる必要はありません。
まとめ
解体工事のよくあるクレームは、騒音や振動、粉塵、路上駐車、業者のマナーなどです。
騒音や振動については、「騒音上限は85db」「振動上限は75db」の基準値が定められています。
優良解体業者であれば、近隣住民からクレームが出ないよう適切な対策をとった上で工事を進めてくれるはずです。
そのためには施主として、きちんとした業者を選定することが重要です。その上で、クレームの回避策と対処法についても理解を深めておき、いざというときに備えておきましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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